わかりやすい債券投資(10)債券市場を動かす3つの要素

前回の投稿で、最も複雑かつ重要な金利と価格の関係性について解説しました。今回の投稿では、どういった要素が市場における金利と価格を動かすかについて解説します。

  

債券市場、つまり債券の金利と価格を動かす要因については、無数に存在するのが実際なのですが、理解を簡単にするため、今回はおおざっぱにカテゴライズしたいと思います。個人的な経験としては、以下の3点に集約されるのではないかと思っています。

  

・ファンダメンタル (環境)

・モメンタム (潮流)

・サプライ&デマンド (需給)

  

ファンダメンタルについては、定量的なマクロ・ミクロ環境を指します。米国債であれば、米国経済に関する指標で、特にインフレ率(CPI、PCE)やGDPが該当します。非常に簡単に言ってしまえば、経済状況がよく、インフレ率が高い状況であれば、ファンダメンタルズが良い、とされて金利は上昇しやすくなります

  

社債であれば、最も大きいリスクは発行体である企業の業績になりますので、「借り手のビジネスが好調であるか」といったミクロ的な視点から、「業界全体の見通しはどうか」、「経済全体ではどうか」といったマクロ的な視点も重要になってきます。企業業績が悪く、業界や経済の見通しも悪ければ、投資家としては高いリスクに対するより高いリターンを求めますので、金利水準も上昇します

  

一方、モメンタムは市場全体の潮流です。こちらについては、定量化が難しいのですが、一種の流行だと思っていただければ結構です。債券が人気になる時期もあれば、不人気になる時期もあります。ただ、そういった流行は日によって変わるわけではなく、ある程度長期間にわたって維持されることから、買われやすい時は金利が低下しやすい状況が継続し、売られやすい時は金利が上昇しやすい状況が継続します。

  

モメンタムが形成されるタイミングとしては、トランプ政権の誕生など大きなイベントの発現といった具体的なものから、市場全体のリスク許容度が低下し、株から債券へのアロケーション変更が生じる、といった抽象的なものまで様々存在します。特徴としては、一方向的な値動きが1週間以上継続し、反転のタイミングがあまりないことです。

 

最後に、サプライ&デマンドですが、こちらは短期的および長期的な需給関係を指します。短期的な需給の例では、米国債のオークション(新規発行)が挙げられ、オークションがある日は供給超過によって債券が売られやすくなるといったこともあります。一方で、長期の需給に関しては、米国政府の債務超過が増加の一途をたどった場合、必然的に米国債の発行を将来にわたって増やす必要があるのですが、増やした債券を吸収するだけの需要がなければ債券の人気は損なわれ、長期的には金利上昇圧力が掛かりやすくなります

KOLBE TAKUMI

大学卒業後は日系保険会社に就職し、外国債券・為替運用領域においてアナリストやトレーダーを経験。その後、ニューヨークのアセットマネジメント会社にて、米国債券のアナリストやファンドマネージャーを経験した。主な専門領域は、米国経済、米国債、米国商業用不動産担保証券(CMBS)。2019年2月MBA Storiesを立ち上げ。慶應義塾大学 環境情報学部卒、コロンビア・ビジネス・スクール MBA。

KOLBE TAKUMI

大学卒業後は日系保険会社に就職し、外国債券・為替運用領域においてアナリストやトレーダーを経験。その後、ニューヨークのアセットマネジメント会社にて、米国債券のアナリストやファンドマネージャーを経験した。主な専門領域は、米国経済、米国債、米国商業用不動産担保証券(CMBS)。2019年2月MBA Storiesを立ち上げ。慶應義塾大学 環境情報学部卒、コロンビア・ビジネス・スクール MBA。