わかりやすい債券投資(6)債券と価格の関係

債券市場で最もとっつきにくい情報が、金利と価格についてだと思います。私自身、債券の仕事を始めて最初にぶつかった壁がこの金利と価格の関係性です。一般的な概念としては以下の通りです。

  

金利が上昇すると、債券価格は低下する

金利が低下すると、債券価格は上昇する

  

何の前提知識も無くこういった説明を聞いてしまうと、当然混乱してしまいます。私自身、以下の様な疑問を持ちました。

  

「金利が上昇するということは、収入が増える(利回りが向上する)ことになるから、価格が上昇しないとおかしい!」

  

こうした疑問はある意味正しいのですが、債券の性質を考慮すると正しくないことが分かります。以前の投稿でも説明した通り、債券とは満期まで持ち続けた場合、基本的に、満期までの収入は変わらない資産です。つまり、債券市場の金利が変動したとしても、自分がすでに持っている債券からの収入は変わりません。

  

以下に具体的な例を示します。

  

年間1回払いの5年後満期、クーポン5%の債券を米国政府が発行したとします。これを100円でひとくち購入した場合の、収入(キャッシュフロー)の合計は以下の通りです。この債券を債券Aとしましょう。

  

  

前提として覚えていてほしいことは、上記のキャッシュフローは、債券が発行されていまった後の市場金利が10%まで上昇したとしても、逆に1%まで低下したとしても変わりません。なぜならば、その発行された債券のクーポン等の条件が変わらないからです。変わるとしたら、上記のキャッシュフローに対して、投資家がいくら払うかという「市場価格」です。市場価格は市場金利に乗じて変動します。

  

上記の債券Aは100円で購入したと申しましたが、これはこの債券の発行時点の市場金利が5%とクーポン利率と同じであったためです。この債券が発行された1日後に市中金利が10%まで上昇したケースについて考えてみましょう。この前提を踏まえ、以下の債券が米国政府より発行し、市場で100円で購入可能としましょう。これを債券Bと呼びましょう。

  

  

債券Aと債券Bを比べてみると、満期までの期間がほとんど変わらないにもかかわらず、最終的な収支は25円(50円‐25円)の差異が出ます。こうしたAとBの債券が同じ100円で売り出されていたとして、Aを欲しがる人はいないと思います。ですので、債券Aと債券Bの魅力度を同じレベルにするために、債券Aの保有者は価格を下げる必要が出てきます。収入の差を埋めるべく、債券Aを安く売ることによって、債券Bを100円で買った時とほぼ同じ収支にしたいと思うはずです。

  

収支の差は25円ですので、単純計算で債券Aを75円(100円‐25円)で売ればよいということになります。

  

金利低下の場合も同じことで、変わらないクーポン収入という前提のもと、市場の金利が低下した場合はすでに高いクーポンで発行されている債券への需要が高まるため、高くても欲しい人が増えるため、すでに発行されている債券の価格が上昇することになります。

  

上記の例には、簡略化のために様々な要素を省いています。実際の価格計算には、デュレーションやらコンベクシティやらディスカウントやら難しい横文字が含まれます。今回は、債券初心者がまず躓く金利と価格の関係性について説明しました。

  

この概念を理解できれば、これからの金利と価格に関する話も十分に理解できると思います。

KOLBE TAKUMI

大学卒業後は日系保険会社に就職し、外国債券・為替運用領域においてアナリストやトレーダーを経験。その後、ニューヨークのアセットマネジメント会社にて、米国債券のアナリストやファンドマネージャーを経験した。主な専門領域は、米国経済、米国債、米国商業用不動産担保証券(CMBS)。2019年2月MBA Storiesを立ち上げ。慶應義塾大学 環境情報学部卒、コロンビア・ビジネス・スクール MBA。

KOLBE TAKUMI

大学卒業後は日系保険会社に就職し、外国債券・為替運用領域においてアナリストやトレーダーを経験。その後、ニューヨークのアセットマネジメント会社にて、米国債券のアナリストやファンドマネージャーを経験した。主な専門領域は、米国経済、米国債、米国商業用不動産担保証券(CMBS)。2019年2月MBA Storiesを立ち上げ。慶應義塾大学 環境情報学部卒、コロンビア・ビジネス・スクール MBA。