わかりやすい債券投資(9)コンベクシティ

ここまで理解できているのなら、相当債券について詳しくなってきているはずではないでしょうか?より金利と価格の関係性についての理解を深めるために、コンベクシティという概念も併せて知っておきましょう。

  

前回の投稿で修正デュレーションが、「金利と価格の関係性を定量的に表す」と申し上げましたが、実際にはデュレーションだけでは関係性を完全に説明することは出来ないのです。

  

デュレーションは、「価格と金利の関係性は線形である」との前提に基づいています。つまり、金利が1%変動した場合は価格が10ドル上昇する債券があったとすると、2%の変動の場合は20ドル、3%の場合は30ドルと、金利の動きの幅と方向性、そして価格の動きが比例していることが前提となっています。しかしながら、実際の関係性は線形ではなく、以下の様に非線形となっています。

 

  

青の線がデュレーションで表した金利と価格の関係です。一方、オレンジの線がデュレーションにコンベクシティを加味した金利と価格の関係です。線形と非線形のグレーの部分となっていますが、この範囲がコンベクシティによる調整分となっています。

  

こうした実際の債券価格と金利の関係を非線形に補間する概念がコンベクシティになります。コンベクシティを数式で表すと以下通りです。

  

  

  dP=金利変動後の価格、p=金利変動前の価格、MD=修正デュレーション、Δy=金利変動幅、C=コンベクシティを表しています。

  

数式を見ていただいたらわかると思いますが、コンベクシティの価格に対する効果は金利変動の方向に関わらず、プラスになっています(Δyを二乗しているため)。つまり、金利が上昇し、価格が下落することになったとしても、価格下落の幅は小さくなります。一方、金利が低下し、価格が上昇した場合においては、価格上昇の幅は大きくります。

  

以上の通り、コンベクシティの効果が大きいほど、価格下落を抑制し、価格上昇を促進するため、債券投資家にとって有利に働きます。債券を購入する際には、コンベクシティが大きいものを買うことが一つの戦略になります。

  

こういったコンベクシティの働きについては、「ポジティブコンベクシティ」と呼ぶのですが、逆に「ネガティブコンベクシティ」の性質を持つ特殊な債券の種類も存在します。金利低下した時には、それほど価格は上昇せず、金利上昇した時には、価格下落幅が大きくなるといった効果が表れます。

  

こうしたネガティブコンベクシティを持つ債券の代表が米国住宅ローン証券化商品(MBS)になりますが、話が非常に複雑になってしまいますので、次回以降の投稿で解説したいと思います。

KOLBE TAKUMI

大学卒業後は日系保険会社に就職し、外国債券・為替運用領域においてアナリストやトレーダーを経験。その後、ニューヨークのアセットマネジメント会社にて、米国債券のアナリストやファンドマネージャーを経験した。主な専門領域は、米国経済、米国債、米国商業用不動産担保証券(CMBS)。2019年2月MBA Storiesを立ち上げ。慶應義塾大学 環境情報学部卒、コロンビア・ビジネス・スクール MBA。

KOLBE TAKUMI

大学卒業後は日系保険会社に就職し、外国債券・為替運用領域においてアナリストやトレーダーを経験。その後、ニューヨークのアセットマネジメント会社にて、米国債券のアナリストやファンドマネージャーを経験した。主な専門領域は、米国経済、米国債、米国商業用不動産担保証券(CMBS)。2019年2月MBA Storiesを立ち上げ。慶應義塾大学 環境情報学部卒、コロンビア・ビジネス・スクール MBA。