MBAの価値を考える(2)人脈形成

「MBAの価値を考える」の第二回目であるが、今回は「人脈形成」について自らの考えを書く。

  

前回の投稿の通り、MBAの価値としてポピュラーな回答が「人脈形成」である。しかし、自らを振り返ると、お友達の領域を脱して、キャリア上意味のある人脈形成が出来たかというと、正直わからないのが現状だ。人脈については、短期的なものよりも、長期的なベネフィットをもたらすものだと認識しているため、卒業間もない現在では判断がつかない。

  

そして、何よりも自らが嗜好するキャリアの方向性にも非常に依拠すると考えている。肌感としてはインターナショナルな「横」の繋がりは、日本や米国以外の地域においてキャリアの進展を望むのであれば、あまり効果が無いのではないかと考えている。そもそも、国籍やバックグラウンド、卒業後のキャリアの方向性も人によって大きく異なるため、自分のキャリアに生きる人脈を形成することは容易ではない。

  

しかし、MBA後に米国で就労することを目指しているのであれば、「人脈形成」も必要になってくる。

  

米国は極端なコネクション社会なので、人脈は多く持っておかないとまず就職ができない。人脈をたどって応募したい企業の現役社員からリファレンスを取らないと、面接にすら呼ばれない。MBA新卒での就活も同様で、学生は入学と同時に希望する企業・業界での人脈形成に奔走する。就職システムそのものがコネクションを前提にしているのである。米国らしく、「コミュニケーション」を極端に重視し、フィジカルなつながりが無いと社会にすら出られないのだ。

  

しかし、こうしたコネクション社会の前提として、米国は日本以上の「学歴社会」であることを忘れてはいけない。米国の就活には大企業(特に投資銀行やコンサルファーム)が採用を強化する特定の大学である 「ターゲットスクール」なるものが存在し、それらの学校には「キャンパスリクルーター(チーム)」という専門の採用担当者が張り付き、学生に対して積極的な情報提供や人脈形成の場の提供を行う。一方で、ターゲットスクール外(ノンターゲットスクール)の学生は、こういった厚遇を受けることが出来ず、すべて自らの力で人脈形成をしていかなければならない。

 

こうした状況は日本とは大きく異なる。日本であれば、大企業が自社サイト上や委託先のサイト上で採用の募集をかけ、求職者はそこから応募する。面接に呼ばれるためにインサイダーとのコネクションを持つ必要は無く、学歴(と経歴)さえよければお呼びがかかる。こうしたデジタルなセレクションは効率的には見えるが、 非常に非効率なアナログなプロセスである。応募者の人となりは「未知数」で、面接をするまで一切わからないため、ある程度の項目を満たす候補者をほぼ全員、面接に呼ぶことになる。呼結果的に、多くの人間との面接をさばくため、採用の経験が全くない一般社員を大勢動員し、「サイドワーク」としてアサインする必要になるため、生産性は著しく落ちる。

  

そもそもの話とは大きくずれてしまったが、MBAの価値としての「人脈形成」は目的とするには非常に曖昧で、効果も一部の状況(米国就職を企図する場合など)を除いて測りにくい。そのため、あまりMBAの価値として人脈形成を挙げにくいのが現状である。

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KOLBE TAKUMI

大学卒業後は日系保険会社に就職し、外国債券・為替運用領域においてアナリストやトレーダーを経験。その後、ニューヨークのアセットマネジメント会社にて、米国債券のアナリストやファンドマネージャーを経験した。主な専門領域は、米国経済、米国債、米国商業用不動産担保証券(CMBS)。2019年2月MBA Storiesを立ち上げ。慶應義塾大学 環境情報学部卒、コロンビア・ビジネス・スクール MBA。

KOLBE TAKUMI

大学卒業後は日系保険会社に就職し、外国債券・為替運用領域においてアナリストやトレーダーを経験。その後、ニューヨークのアセットマネジメント会社にて、米国債券のアナリストやファンドマネージャーを経験した。主な専門領域は、米国経済、米国債、米国商業用不動産担保証券(CMBS)。2019年2月MBA Storiesを立ち上げ。慶應義塾大学 環境情報学部卒、コロンビア・ビジネス・スクール MBA。